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トウガラシの連作障害対策

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目次
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トウガラシを同じ圃場で作り続け、定植後の株が急にしおれたり、根元から枯れたりしていませんか。高温期に広がる青枯病や、地際・根に被害が出る疫病などは、連作圃場で警戒したい土壌病害です。ただし、しおれの原因は水切れや根の傷みの場合もあり、見た目だけで病名を決めることはできません。

対策では、症状を確認して病気を絞り、発病株への対応と次作の作付け計画を分けて考えることが大切です。輪作が難しい圃場なら、排水改善や抵抗性台木、必要に応じた土壌消毒・隔離床を組み合わせます。残さの処理も、健康な残さと発病株を同じ扱いにしないことが基本です。

この記事では、トウガラシの連作障害で現れる症状、原因の見分け方、輪作・接ぎ木・土づくりの考え方を整理します。万願寺トウガラシなどを継続生産する農家が、次の作付けを判断する際に確認したい順番で紹介します。

トウガラシの連作障害で
見られる主な症状

青枯病による急なしおれ

青枯病では、土の中の細菌が根から入り、茎の水を運ぶ組織を侵します。生育していた株の葉が緑色を保ったまま日中にしおれ、初めは夕方や朝に戻ることがあります。その後、回復しない株が増え、株全体が枯れていきます。水不足に見える段階でかん水を増やすと、排水が悪い圃場ではかえって管理が難しくなります。

発病が疑われる株と健全株の位置を記録してください。畝の低い場所や水の流れに沿って広がるのか、一部の株だけなのかは、原因を絞る手がかりになります。切った茎の導管が褐変していても、ほかの病気でも似た変化が起こるため、褐変だけで青枯病と断定しないことが重要です。普及指導機関やJAへ株を持ち込み、診断を受けると対策を選びやすくなります。

京都府内の万願寺トウガラシ産地について、農研機構に掲載された研究成果は、連作による土壌病害の多発、とくに青枯病の難防除性を示しています。抵抗性台木や土壌消毒を利用しても発生が残る圃場があり、症状が繰り返される場合は栽培床そのものを見直す検討が必要です。

※参照元URL:農研機構「万願寺トウガラシの青枯病被害を軽減できる簡易な隔離床栽培」(https://www.naro.go.jp/org/warc/research_results/h20/05_yasai/p6/index.html)

疫病による地際や根の傷み

疫病では地際の茎や根が傷み、株がしおれて枯れることがあります。雨が続く時期や、かん水後に水が長く残る圃場では発生条件を疑います。青枯病と違い、地際や果実にも病斑が現れる場合があるため、葉だけでなく株元と根の状態を確かめましょう。畝全体の排水を見ずに薬剤だけを変えても、同じ場所で被害が繰り返される可能性があります。

農研機構のトウガラシ台木用品種「台ちから」は、青枯病と疫病の両方に強い抵抗性を示すとされています。ただし、品種名だけで選ぶのではなく、現在使っている穂木との組み合わせ、地域の発病状況、育苗方法を確認してください。抵抗性は「どの病気に対して強いか」で選ぶもので、すべての病害を防ぐ保証ではありません。

※参照元URL:農研機構「台ちから」(https://www.naro.go.jp/collab/breed/0300/0309/054592.html)

生育不良や収量低下は病気以外も疑う

葉色が薄い、枝が伸びない、着果が続かないといった変化だけでは連作障害と決められません。肥料の過不足、土壌の塩類集積、乾湿の急変、低温、高温による着果不良でも似た姿になります。まず症状の出る時期、圃場内の位置、前年との共通点を記録し、土壌分析とかん水履歴を合わせて見ます。

根を掘り、白い新根があるか、褐色の根が多いか、根こぶがないかを確かめましょう。根こぶがあっても、どのセンチュウが原因かは外見だけでは分かりません。病害と生理障害が重なることもあります。ひとつの資材で解決しようとせず、原因を分けて検討すると無駄な施用を減らせます。

なぜトウガラシは連作で
病害が続きやすいのか

ナス科作物を挟んでも輪作にならない

トウガラシの後にピーマン、パプリカ、トマト、ナスを作ると、見た目の作物は変わってもナス科が続きます。病原体の種類によって宿主の範囲は異なりますが、同じ科を続ける計画は土壌病害のリスクを下げにくいものです。圃場の作付け台帳には作物名だけでなく科も書き込み、何年続けてナス科が入ったか確かめてください。

輪作の年数は一律ではなく、病原体の種類、発病の程度、地域の作型で変わります。一般的なトウガラシ栽培では数年単位で間隔を空ける指導がありますが、青枯病が多発した圃場は年数だけで安全とは言えません。「何年空けるか」と「その間に何を作るか」をセットで考えることが必要です。

水のたまる場所と土の深い層が盲点になる

畝上は乾いて見えても、通路や下層に水が残る圃場があります。排水が悪い状態では根が弱り、疫病を含む病害の条件が整いやすくなります。表面の土だけ入れ替えたり、散水量だけ減らしたりしても、水の出口が詰まっていれば改善しません。暗渠、明渠、畝高、かん水量を含めて見直しましょう。

青枯病が繰り返される圃場では、土の表層の処理だけで病原をなくせると考えないほうが安全です。前述の万願寺トウガラシの研究でも、青枯病多発施設では隔離床と土壌消毒を併用して被害を軽減しました。それでも栽培床を完全に消毒するのは難しく、抵抗性台木の併用が有効とされています。対策は圃場の被害に応じて段階的に選びます。

発病株の根と作業経路が次作に残る

株を抜かずに根だけ土中へ残すと、病原が付着した組織が次作の伝染源になる場合があります。発病株は健全な残さと分け、地域の防除指針に沿って圃場外で処分します。茎を切ったはさみ、抜き取りに使った器具、作業靴なども、発病株の処理後に洗浄・消毒してください。

同じ施設内で健康な畝から発病した畝へ作業を進める、かん水が発病区画から健全区画へ流れないようにするなど、作業順と水の動きも見直せます。病気の有無が曖昧な残さを一括してすき込むと、土づくりのつもりが病害管理を難しくすることがあります。

トウガラシの連作障害を
減らすための対策

輪作できる圃場では作付けを組み替える

複数の圃場を使えるなら、ナス科を同じ区画へ続けて入れない計画が基本です。前作がトウガラシなら、次作と翌々作に何を置くかまで決めます。候補の作物が病原の宿主にならないかを確認し、同じ設備で栽培できるか、出荷時期が経営に合うかも検討してください。

既に青枯病が発生した区画では、作付け間隔だけを頼りに戻すのは避けましょう。病害の出なかった圃場との比較や土壌検査、地域の指導機関の助言を踏まえ、再びトウガラシを入れる時期を判断します。輪作が難しい施設では、接ぎ木と排水対策を先に検討するほうが現実的な場合もあります。

抵抗性台木は穂木と対象病害を確認する

接ぎ木苗を使う場合は、前年の病名、採用予定の台木の抵抗性、穂木との適合を揃えて検討します。台木が青枯病に強くても、疫病への抵抗性やウイルスへの対応は別です。種苗会社の表示だけで判断がつかなければ、地域の普及指導センターに過去の発病履歴を示して相談してください。

接ぎ木部が土に埋まると穂木から発根し、台木の抵抗性を生かせないおそれがあります。定植時は接ぎ木位置と植え付け深さを確認します。苗だけ高価なものに替えても、排水不良や病株の放置が続けば効果を実感しにくいため、管理を一緒に変えることが大切です。

隔離床や土壌消毒は発病程度に合わせる

同じ施設で継続して作る必要があり、青枯病による減収が大きい場合は、隔離床栽培を検討できます。農研機構に掲載された万願寺トウガラシの試験では、隔離床と土壌消毒を組み合わせて被害を軽減しました。ただし、資材費と施工時間が必要で、完全防除でもありません。導入前に過去の減収、想定する栽培年数、かん水設備まで計算しましょう。

土壌消毒を行う場合は、病害に適した方法と登録内容を確認し、実施時期、処理できる土の深さ、周辺への影響を考えます。薬剤や熱処理の方法を変えるだけで病原をゼロにできるわけではありません。処理後の苗、器具、かん水経路から持ち込まない管理も欠かせません。

排水と肥培管理を立て直す

水が残る場所では、畝を高くし、通路や圃場外までの排水経路を確保します。施設では一度の多量かん水を避け、土の湿り具合と生育段階で回数を調整します。水切れを恐れて常に湿らせる管理は、根の張りや病害の観点から見直したいところです。

肥料は前年の施用量を踏襲するのではなく、土壌分析の結果を使います。塩類がたまっている圃場で施肥を増やすと、生育不良をかえって悪化させる場合があります。病害・排水・肥料のどれが主因かを分けて調べると、対策の優先順位が明確になります。

残さ処理と土づくりで
気を付けたいこと

発病した株はすき込まない

収穫後の残さを土づくりに使う前に、株ごとの病徴を確認します。しおれや地際の腐敗があった株、根に強い異常がある株は、健全な残さから分けて処分します。微生物資材や堆肥を使っても、発病株の病原体を確実に消せるわけではありません。病株を片付ける作業と、有機物を土へ戻す作業は別の工程にしてください。

健全な残さを利用するときも、粗い茎を細かくし、土と均一に混ぜ、分解する時間を確保します。未分解の有機物が多いまま次作を定植すると、根の周囲で窒素や酸素が一時的に不足する場合があります。土の水分や温度によって分解速度は変わるため、日数だけで定植可否を決めず、現地の状態を見てください。

微生物資材は残さの分解目的で使う

残さを圃場で循環させたい場合、微生物資材は有機物の分解と土づくりを補助する選択肢です。カルスNC-Rを検討するなら、公式の使用方法を確認し、投入する有機物、施用時期、水分、混和の方法を計画します。資材の施用と青枯病・疫病の防除は別の判断です。病気の診断と衛生管理を省かないでください。

継続して同じ圃場を使う経営では、前年と今年の発病株数、収量、土壌分析値、残さの分解状況を記録します。ひとつの資材の効果を確認する際も、苗や品種、かん水を同時に大きく変えると比較が難しくなります。小区画から試し、条件をそろえて見比べる方法が実務的です。

※参照元URL:リサール酵産「よくあるご質問」(https://www.resahl.co.jp/faq/)

次の作付けまでに
確認したい順番

今作中は発病株と被害範囲を記録する

病気が疑われる株は、発生日と位置を記録し、必要に応じて指導機関で診断します。発病株をそのまま残さず、作業器具と水の流れを見直します。果実だけでなく根や株元の写真を残すと、収穫後に原因を振り返りやすくなります。症状が局所的なら、その区画の排水や土の締まりも調べましょう。

収穫後は土と設備を点検する

健全な残さと発病株を分け、畝下や通路の排水を確認します。土壌分析ではpHやEC、主要な養分を調べ、肥料設計の見直しに使います。繰り返し枯れる位置が決まっているなら、部分的な土壌病害・センチュウ検査も選択肢です。原因が分からないまま次作の苗だけ替えるのは避けたいところです。

次作前に輪作・台木・消毒の順で計画を決める

圃場を替えられる場合は輪作を優先します。替えられない場合は病名に合う台木と排水改善を検討し、病害の程度に応じて土壌消毒や隔離床を加えます。発病を完全に防ぐ単一の方法はありません。複数の対策をどう組み合わせるかを、費用と作業時間も含めて決めることが安定生産につながります。

トウガラシの連作障害対策では、まず何が株を弱らせているかを確かめることが出発点です。青枯病・疫病、排水不良、肥料の蓄積では必要な手が違います。病株を圃場から除き、次作の作付けと健全な残さの扱いを整理してから、土づくりを進めましょう。

トウガラシの連作障害で
よくある疑問

ピーマンやパプリカへ替えれば連作を避けられる?

避けられません。トウガラシ、ピーマン、パプリカは近い作物で、いずれもナス科です。トウガラシの後に甘長トウガラシへ替える場合も、作物の呼び名や辛さが変わっただけで病害リスクを回避できるとは考えられません。作付け台帳で品目を分けて管理するのは有益ですが、輪作の判断では科と病原体の宿主を見ます。

農研機構の「台ちから」の説明でも、同じ台木が甘長トウガラシと普通のトウガラシ向けに使われています。作物の用途が違っても、問題となる青枯病や疫病への対策を共通して考える必要があることが分かります。前作がピーマンだった圃場でトウガラシを計画する場合も、前年のしおれ株や根の傷みを確認してから定植してください。

青枯病が出た土を表面だけ入れ替えればよい?

表土の入れ替えだけで安心とは言えません。病原が残る深さは圃場条件によって異なり、土を入れ替える作業で器具や苗に付着した土を通じて別の区画に持ち込むこともあります。どの範囲を処理するかは、発病株の位置や診断結果を見て決めます。病害が多発した施設では、隔離床を含めた栽培方式の変更が検討されることもあります。

隔離床を導入する場合も、床を覆うだけでは水の管理が難しくなります。農研機構に掲載された万願寺トウガラシの試験では、栽培床の傾斜と余剰水の流れを設計し、土壌消毒と組み合わせていました。導入を検討する際は、設置費用、培地の確保、かん水設備、余剰水の処理まで含めて専門家と計画してください。

収穫後の茎をすき込むと病気も消える?

いいえ。有機物の分解と病原体の防除は別です。青枯病や疫病の疑いがある株を、健全な茎葉と一緒に細断してすき込むことは避けます。まず病株を選り分け、地域の防除指針に従って処分します。その後、病徴のない残さを利用するかどうかを判断してください。病気が発生した区画の残さが安全か迷う場合は、普及指導機関に確認しましょう。

健康な残さも、土に入れればすぐに養分になるわけではありません。硬い茎は分解に時間がかかり、土の水分が足りなければさらに遅れます。施用する資材の説明を読み、細断の程度、混和する深さ、次作までの日数を整えます。次作で根が伸びる層に粗い有機物が残っていないか、定植前に掘って確認してください。

輪作が難しいハウスでは何から始める?

最初に、収量が落ちた原因が本当に土壌病害かを確かめます。発病株の診断、土壌分析、排水の点検を並行して進めてください。病害が確認できたら、病株の処理と器具の衛生を整え、次作の台木や土壌処理を選びます。施設を空ける期間が短い場合でも、対策の順序を省くと同じ場所で被害が繰り返されます。

対策の費用を比べる際は、資材代だけでなく、苗代、施工時間、収穫できなかった分の売上も見ます。青枯病が局所的なら、ハウス全体を同じ方法で処理する前に、その区画の水の流れを改善できないか検討します。多発しているなら、小手先の追加資材より、隔離床や作付け計画の変更が必要かもしれません。数字で比べることで、次作に向けた優先順位が付けられます。

改善したかどうかは何で判断する?

「枯れなかった」だけでなく、発病株率、定植後の生育、可販収量、収穫期間を前年と比べます。圃場内の位置ごとに記録すると、排水対策を行った畝で改善したか、台木を替えた区画で変化があったかを確認できます。気象や作型が違う年を比べる際は、その差も記録に添えてください。

土壌分析の数値や残さの分解状態も合わせて残せば、病害対策と土づくりを混同せずに評価できます。複数の方法を一度に変えた場合、何が効いたかは断定しにくいため、可能なら区画を分けて試しましょう。トウガラシの継続生産では、病害を診断し、作付けを設計し、結果を記録する流れを毎作繰り返すことが重要です。

発病が軽い年でも翌作に備えるべき?

発病株が少なくても、前年と同じ位置に出たなら記録しておきましょう。気温が低い、雨が少ないなど、病気が目立ちにくい条件だった可能性もあります。収穫後に根を掘り、症状の出た区画と健全区画を比べます。翌年にトウガラシを戻す予定なら、発病株を処分し、排水と台木の計画を定植前に決めてください。

青枯病のように急に被害が広がる病気では、発生してから全体の栽培方式を変えるのは難しいものです。小さな被害の段階で診断を受け、対策費と想定減収を比較すれば、早めに輪作や隔離床を検討できます。被害が少ない年を「問題が解決した年」とみなさず、次の作付けへ向けた観察結果として生かしましょう。

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