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堆肥で土壌改良するには?

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目次
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土壌改良に使う堆肥のイメージ

土壌の状態を根本から改善し、より豊かな収穫へと導いてくれる「堆肥」。日本の農業において古くから利用されてきました。堆肥が持つ多様な働きと効果的な使用方法について解説します。

堆肥のメリット

土壌改良に使う堆肥のメリット・デメリット

土壌の物理性(構造)を改善

堆肥は土壌の物理的な構造を改善します。堆肥に含まれる多量の有機物が土壌中で微生物に分解される際、微生物が分泌する粘着性の物質は「のり」のように作用。細かい土の粒子同士を結びつけて団子状の「団粒構造」を形成します。

団粒構造が作られると、土の中に適度な隙間が生まれ、水はけが良くなり、同時に必要な水分をしっかり保つ「保水性」も向上。空気の通り道もあわせて確保されるため「通気性」も向上し、植物の根が酸素を十分に吸収できるようになります。

土壌の化学的な性質・
生物的な環境を改善

堆肥は、土壌の化学的・生物的性質の改善にも寄与します。堆肥が土壌に加わると、土の「保肥力」、つまり肥料成分を保持する能力がアップ。堆肥に多く含まれる腐植物質に、陽イオン交換容量(CEC)を高める性質があるためです。CECが高い土壌は、肥料として施された窒素やカリウムなどの陽イオンをしっかりと吸着。雨でも栄養が流出しにくく、植物の根が養分を吸収するまで土中に留めておける状態になります。

堆肥には土壌中の微生物を増やし、種類を多様化させる効果も。堆肥に含まれる有機物が、微生物にとって豊富な栄養源となるためです。多様な微生物が生息する土壌には、特定の病原菌が増殖してしまうのを抑える「拮抗作用」が働きます。

堆肥のデメリット

未熟堆肥による生育阻害のリスク

堆肥を使用する際に要注意なのが、「未熟な堆肥」が引き起こす生育阻害のリスクです。堆肥は、有機物が微生物によって分解・発酵される過程で生成されます。

発酵が十分に完了していない未熟な堆肥を土に混ぜ込んでしまうと土中で発酵が継続。熱やガス(とくにアンモニア)が発生します。発酵熱や有害ガスは、植物の根を直接傷つけ、生育不良や枯死の原因です。

未熟な堆肥には、本来発酵過程で死滅するはずの病原菌や害虫の卵、雑草の種子が残っている可能性も。

リスクを慎重に考えなければならないのは堆肥のデメリットです。

使用・管理が難しい

堆肥の利用におけるもう一つのデメリットは取り扱いの難しさです。

たとえば、バーク堆肥のように炭素成分が多く、窒素成分が少ない堆肥を大量に土壌に投入した場合。堆肥を分解する微生物の活動が活発になり、土壌中の窒素が大量に消費されます。すると作物が利用できる窒素が不足してしまい、生育が阻害される「窒素飢餓」という現象が発生。

窒素飢餓を避けるには、堆肥の炭素窒素比(C/N比)を確認し、必要に応じて窒素肥料を併用するといった対策が必要です。

また、土壌改良効果を得るために堆肥を大量に投入しなければならない場合、運搬や散布の負担が多いために人員を確保する必要があります。。堆肥は一度乾燥すると水を弾きやすくなる性質を持つため、施用後の適切な水分管理も欠かせません。

管理の難しさや物理的な手間も、堆肥活用のデメリットです。

堆肥での土壌改良で
実現できること

作物の健全な生育促進と
収量・品質の向上

堆肥による土壌改良は作物の健全な生育を促します。堆肥によって土壌が団粒構造になり、通気性、保水性、保肥性が向上すると、植物の根はより深く健全に発達することが可能に。土壌中の水分や養分を効率的に吸収できるようになります。

堆肥は、窒素・リン酸・カリウムといった主要な栄養素だけでなく、マンガンやホウ素などの微量要素も多様に含有。植物に供給されると、作物は養分の消化不良を起こしにくくなります。

病害虫リスクの低減と
連作障害の緩和

堆肥には土壌中の微生物相を豊かにし、病害虫の発生を抑える効果もあります。土壌に多様な微生物が生息する状態は、作物に被害を与える特定の病原菌が増殖するのを予防。健康な土壌環境を維持します。

同じ作物を同じ場所で育て続けることで起こる「連作障害」の緩和にも堆肥は有効です。連作障害の一因には、特定の養分の偏りや欠乏、特定の病原菌の蓄積があります。堆肥の施用は土壌全体の養分バランスを整え、多様な微生物の活動を促進。連作障害の影響を緩和します。

堆肥での土壌改良では
できない・難しいこと

即効性のある栄養補給は難しい

堆肥は土壌を豊かにしますが、植物が必要とする栄養分を即座に補給する能力は持ちません。堆肥に含まれる栄養素は、微生物によるゆっくりとした分解を経て初めて植物に吸収可能な形になります。栄養供給の効果は持続的ですが緩やかです。

堆肥はあくまで土壌の「体質改善」を目的とした長期的な資材。短期間で目に見える栄養補給効果を期待すべきではありません。多くの場合、堆肥と化学肥料を併用することが推奨されています。

特定のミネラル欠乏症への
対処は困難

特定のミネラルが土に不足している場合に、ピンポイントでそれを補うのは堆肥には困難です。堆肥中のミネラルは種類が多く、含有量も原料や製造方法によって異なります。土壌や作物が必要とする特定の微量要素を、必要な量だけ正確に供給する対処には堆肥は向きません。

たとえば、土壌診断の結果としてマンガンやホウ素など特定のミネラル欠乏症が判明した場合、堆肥の施用だけでは改善に時間がかかったり、十分な効果が得られなかったりします。

堆肥と微生物の関係性

堆肥が土壌に施されると、多様な微生物が土壌に広がり、土壌全体の微生物相を豊かにします。堆肥によって土が「団粒構造」になることで、微生物が活動しやすい空間が確保され、微生物たちは土壌中の有機物をさらに分解。植物が吸収しやすい養分へと変換します。

堆肥によって物理的・化学的に整えられた土壌は、微生物が最大限に力を発揮できる「住みやすい環境」です。堆肥の持つ土壌改良効果や肥料効果が持続的に発揮され、作物の健全な生育へとつながっていきます。

微生物の活動が活発な土壌では、肥料成分が効率的に植物に供給され、土壌の肥沃性が長く保たれるのです。

堆肥と微生物資材の違い

効果が得られるまでの期間

堆肥を用いた土壌改良は、有機物の分解と発酵を通じて、土壌の物理性(構造)、化学性(保肥力)、生物性(微生物多様性)を総合的かつ長期的に改善するのが目的。効果はゆっくりと現れ、数年にわたって持続します。堆肥が土壌そのものの「体質」を根本から変えるには長い時間が必要です。

一方、微生物資材なら、特定の機能を持つ微生物を土壌に直接投入することで、より速く、特定の効果を得られます。堆肥では時間がかかる、あるいは解決が難しいピンポイントな土壌問題に対して、より直接的かつ迅速な効果を期待できるのが微生物資材の特徴です。

管理のしやすさと施用量

堆肥は大量の施用が必要となるケースもあり、運搬や散布作業はかなりの重労働。また、未熟な堆肥を使用してしまうリスクを避けるためには、完熟度合いの確認や施用後の発酵熱・ガス管理に慎重に注意を払わなければなりません

微生物資材は軽量で取り扱いが簡単なものがほとんど。作業の省力化に大きく貢献します。微生物資材が特定の高機能な微生物を高濃度で含んでいたり、特定の効果を狙った成分が凝縮されていたりするためです。

土壌改良のプロに訊く堆肥を使った土壌改良の疑問

リサール酵産代表 飯川さん
リサール酵産株式会社 飯川 隼斗代表

安定収穫を実現する土壌改良の強い味方である微生物資材「カルスNC-R」を手掛ける
リサール酵産株式会社の代表、飯川さんに
堆肥を使った土壌改良について、詳しくお話を伺いました。

Q1. 土壌改良を目的とした堆肥施用量はどのように考えるべきでしょうか?

基本の目安は1㎡あたり23kgです。

多すぎると、分解が追いつかずトラブルの原因になってしまいます。一方で、少なすぎると土はなかなか変わりません。

まずはこの量を基準にして、土の反応を見ながら調整していきましょう。

堆肥は一気に効かせるものではなく、積み重ねるものという考え方が大切です。

Q2. 微生物資材の効果を最大化するために
気をつけるべきポイントは何でしょうか?

一番大事なのは「メーカー推奨の使い方を守る」ことです。

微生物資材は、菌の種類や組み合わせがそれぞれ違います。だから、使い方も前提も別物なのです。

自己流で量を変えたり、他の微生物資材で代用したりすると効果は期待できません。

メーカーの設計通りに使ってこそ、力を発揮するものだと覚えておいてください。

まとめ

堆肥だけでは一長一短

堆肥による土壌改良は、土の物理的、化学的、生物的性質を総合的に改善し、作物が健康に育つための強固な土台を築く上で不可欠です。

土壌をふかふかにし、水はけ・水もち・保肥力を向上。多様な微生物が住みやすい環境を作り出し、作物の健全な生育、収量・品質の向上、病害虫リスクの低減や連作障害の緩和にも寄与します。

一方で、堆肥は即効性のある栄養補給には向きません。特定のミネラル欠乏症へのピンポイントでの対処も困難です。また、未熟な堆肥の使用は生育阻害のリスクを伴い、大量の施用の際には大きな労力が伴うといった課題もあります。

堆肥と微生物資材の併用で
相乗効果を狙うのも手

堆肥と補完し合う関係にあるのが微生物資材です。堆肥で土壌の基礎的な健康を築きながら、特定の課題に対しては微生物資材を戦略的に併用すれば、より効率的かつ持続可能な農業が実現できます。

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