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石灰で土壌改良するには?

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目次
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石灰を畑にまくイメージ

雨が多く、また化学肥料の使用などによっても酸性に傾きやすいのが日本の土壌。定期的な化学性の調整が求められます。土壌環境の化学性の改善に使われるのが石灰です。

ここでは土壌改良材として活用される石灰の特性や効果的な活用方法について解説します。

石灰のメリット

土壌の酸性度を穏やかに調整する

日本の土壌は降雨が多く、雨水が土中のアルカリ成分を流出させるため、自然と酸性化が進みます。また、多くの化学肥料も土壌を酸性にする要因です。アルカリ性である石灰を施用すると、土壌のpH値を調整し、植物が栄養素を効率的に吸収できる化学的な環境をつくり出せます。

とくに苦土石灰や有機石灰は中和反応が穏やかで、土壌に急激な変化を与えにくい、扱いやすい石灰です。

作物の生育に
必要な栄養素を供給する

石灰の主成分はカルシウム。施用によってこのカルシウムを作物に供給できます。カルシウムは植物の細胞壁の主要な材料です。根の先端や成長点など、新しい細胞が作られる場所ではとくに必要とされます。カルシウムが十分に供給された作物は、細胞壁が丈夫になり、病気への耐性が向上

苦土石灰の場合だと、カルシウムに加えてマグネシウムも補給できます。マグネシウムは葉緑素を構成する要素です。光合成を促進して葉の色つやを良くしたり、実を大きく育てたりします。

石灰のデメリット

過剰な施用は
化学的環境を悪化させる

適量を超えて石灰を施用すると土壌環境に悪影響を及ぼします。とくにアルカリ性が強い消石灰を多量に使うと、土壌は極端なアルカリ性に。植物に必要な鉄やマンガン、リン酸などの微量要素が土中にあっても吸収されにくくなります。アルカリ性に傾きすぎた土壌は栄養欠乏症の要因です。

一度アルカリ性に傾きすぎた土壌を酸性に戻すのは難しく、長い時間がかかります。正確なpH測定と適量の施用が重要です。

他の肥料との併用を誤ると悪影響

アルカリ性の強い消石灰や生石灰は、窒素成分を含む肥料や堆肥と同時に土壌に混ぜると、植物にとって有害なアンモニアガスを発生させます。石灰の強いアルカリ成分が肥料中の窒素と化学反応を起こし、窒素がガスとして空気中に逃げてしまうためです。

このガスは作物の根に悪影響を与えて枯らす原因です。せっかく施した肥料の栄養分を無駄にしてしまいます。

石灰を施用してから肥料・堆肥を使うまでにはある程度の間を空けるのが一般的です。消石灰を施用した場合は2週間から1か月、苦土石灰の場合は1〜2週間、有機石灰は1週間程度の期間を空けてから次の肥料や堆肥を施用します。

計画的な作業を必要とし、農作業の効率に影響を与えるリスクがあるのは石灰のデメリットです。

石灰での土壌改良で
実現できること

植物の成長を促進し
病害への耐性を高める

石灰を用いた土壌改良によって、作物をより丈夫に、そして健康に育てられます。土壌のpHが作物の好む適切な範囲に調整されると、根からの栄養吸収が向上。石灰に含まれるカルシウムは作物の細胞壁を強化します。物理的な強度が増すため、病原菌への抵抗力の向上が実現可能です。

土壌中の有害生物・物質を抑制

石灰の活用によって、土壌中の病原菌や一部の害虫が好まない環境をつくり出せます。多くの病原菌や害虫は酸性の土壌で繁殖しやすい生物です。土壌を石灰でアルカリ性に傾ければ、病原菌・害虫の活動を抑制することが可能です。

中でも消石灰は土壌の消毒にも使われるほどの強いアルカリ性。殺菌効果で作物が土壌由来の病気にかかるリスクを抑えます。

土壌が酸性に傾くと溶け出すことがある有害なアルミニウムに対しても石灰は有効。中和作用で酸性傾向を抑え、アルミニウムによる根へのダメージを防ぎます。

石灰での土壌改良では
できない・難しいこと

種類によっては
即効性が得られない

一般的に広く使われる苦土石灰や有機石灰は特性上、施用後すぐに効果が現れるわけではありません。石灰の種類によりますが、土壌のpHを調整する化学反応は比較的速やかに始まります。しかし、土壌全体が安定し、作物が栄養を吸収しやすい環境が整うまでには一定の期間が必要です。

また、石灰の施用直後に植え付けを行うと未反応の石灰成分が作物の根に直接触れてしまい、根を傷める「根傷み」のような生育障害を引き起こすリスクも。養生期間を確保する必要があり、やはり時間がかかります。即効性は石灰に求めるべきではありません。

石灰が適さない作物もある

石灰はすべての作物に適しているわけではありません。たとえば、ブルーベリーやサツマイモ、ジャガイモなど、特定の作物は酸性の土壌を好みます。作物を育てるにあたって石灰を施用して土壌を中和しすぎるのは逆効果。生育不良を引き起こしたり、ジャガイモの場合は「そうか病」のような病害を誘発したりします。

完全な消毒効果は期待できない

石灰は一部の病原菌の抑制に役立つものの、土壌全体の病害虫を完全に消毒するような強力な効果は期待できません。とくに苦土石灰はアルカリ成分の効きが穏やかで、土壌消毒を目的とした使用には不向きです。

土壌消毒が必要な場合は、太陽熱消毒や特定の農薬など、より専門的な方法を用いる必要があります。

石灰と微生物の関係性

微生物の活動を活発にする石灰

石灰は、土壌中の微生物の活動を活発にする役割を担います。土壌微生物が活発になるのは、多くの作物が好むのと同じ弱酸性から中性の環境です。日本の土壌は酸性に傾きがちで、石灰を施用してpHを調整することで、微生物にとって好ましい環境が整えられます。

微生物が活発になると、土壌中の有機物の分解が促進。作物が吸収しやすい形で栄養素が供給されるようになります。

微生物を活かすことで
石灰の力が発揮される

石灰が本来持つ力を十分に発揮させるには、土壌微生物の働きを活かすのがポイントです。微生物は、石灰がつくり出す良好な環境で活発に有機物を分解。過程で作物の生育に必要な多様な栄養素を生成し、土壌の団粒構造を形成します。

もし土壌に微生物が少なかったり、活動が不活発だったりすると、石灰が持つpH調整や栄養供給の効果が十分に作用しません。

石灰は微生物が健全に活動できる土壌環境を「整える」役割微生物が環境において「働く」ことで、土壌改良という目的が達成されます。

石灰と微生物資材の違い

石灰と微生物資材の違いを解説する画像

効果の現れるタイミングと持続性

石灰と微生物資材では、土壌への効果の現れ方と持続性に違いがあります。苦土石灰や有機石灰といった一般的な石灰は、pHの調整や栄養供給の効果がゆっくりと現れ、効果は長く持続。苦土石灰は施用から1〜2週間で効果が出始めて、数年間にわたり土壌を中和する作用が続きます。

一方、微生物資材は、微生物の活動を促進する成分を直接土壌に投入するもの。より早く土壌の生物学的活性を高める効果が期待できます。

土壌の化学的状態を安定させる目的であれば石灰が基本です。より迅速な生物性の改善や、特定の微生物群の増殖を促すのが目的である場合には微生物資材が適しています。

参照元:味の素グループ アミノ酸肥料オンライン販売(https://agritecno-japan.com/blogs/knowledge/magnesium-lime

土壌構造への影響と扱いやすさ

アルカリ性の強い石灰を過剰に施用すると土壌の団粒構造を破壊。土を硬くしてしまう可能性があります。カルシウムイオンが過剰になることで、土壌の粘土粒子が逆に緻密に固まってしまうためです。しかし、有機石灰のように穏やかな種類の場合には、土壌微生物の活性化を促し、結果的に土壌の団粒化をサポート。一口に石灰と言っても土壌構造への影響には種類ごとに違いがあり、慎重に選ばなくてはならない扱いにくさがあります。

微生物資材は、土壌に有用な微生物を増やしたり、活動を支援したりすることで、団粒構造の形成を直接的に促進。微生物資材は化学的な反応リスクが少ないため、取り扱いが比較的簡単です。土壌へのダメージも抑えられます。

土壌の物理性を根本から改善し、長期的な地力向上を目指す農家にとっては、団粒構造形成を直接支援する微生物資材が使いやすさの点で有効です。

土壌改良のプロに訊く石灰を使った土壌改良の疑問

リサール酵産代表 飯川さん
リサール酵産株式会社 飯川 隼斗代表

安定収穫を実現する土壌改良の強い味方である微生物資材「カルスNC-R」を手掛ける
リサール酵産株式会社の代表、飯川さんに
石灰を使った土壌改良について、詳しくお話を伺いました。

圃場の条件(pH、土質、有機物量、作物)によって、
どの種類の石灰をどう使い分けるのがよいでしょうか?

石灰の選び方は、「土の状態」と「作物のpH適性」を基準に判断します。

耕作放棄地など極端に酸性へ傾いている土壌では、消石灰のような効きの強い石灰で一度リセットする方法も有効でしょう。

一方、普段の畑や庭であれば、苦土石灰や有機石灰で十分対応できます。穏やかにpHを整えていくことが基本となります。

大切なのは、栽培する作物が得意とするpHをあらかじめ確認したうえで、土壌を調整していくことです。

まとめ

石灰だけでは一長一短

石灰は酸性土壌においてpHを調整し、カルシウムやマグネシウムを供給することで作物の健全な生育を促進します。土壌のpHが適正値から大きく外れている農地や、カルシウム・マグネシウムの欠乏症状が見られる圃場にとって、石灰の活用は有効です。しかし、即効性に限界があったり、特定の作物には不向きであったり、また他の肥料との同時施用に注意が必要であったりといった特性も理解しておく必要があります。

一方、微生物資材は、土壌の生物的側面を強化するもの。団粒構造の形成促進や有機物の分解、特定の病害抑制など、石灰だけではカバーしきれない領域での効果が期待できます。土壌の物理的な健全性を高めたい、病害対策を生物的に強化したい、あるいはより複雑な土壌生態系のバランスを追求したいと考える方にとっては、微生物資材の活用が有効です。

石灰と微生物資材の併用で
相乗効果を狙うのも手

石灰と微生物資材を併用するのも有効な手法です。石灰によって土壌のpHと主要ミネラルバランスを整えると、微生物が活発に活動できる「基盤」が築けます。その上で微生物資材を投入すれば、土壌の生物活性をさらに高めることが可能です。

この相乗効果によって土壌はより豊かで肥沃になり、作物の生産性、品質、病害虫への耐性などの向上が見込めます。

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