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炭で土壌改良するには?

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目次
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土壌改良に使う炭のイメージ

土壌改良用としての炭は、古くからその効果が知られ、利用されてきました。近年では地球温暖化対策としてもその価値が再認識されています。土壌環境の改善と持続可能な農業の実現が可能です。炭を用いた土壌改良について解説します。

炭のメリット

土壌改良に使う炭のメリット・デメリット

多孔質構造による
水と空気の保持能力

多孔質の構造が炭の特徴。無数の微細な穴が空いており、土壌中に多くの空隙をつくり出します。この空隙が、粘土質の土壌であれば水はけと通気性を改善

砂質の土壌であれば水分を適度に保持する能力を高めます。多孔質構造が微細な穴に水分を吸着するためです。

炭が土壌の物理性を改善することで、植物の根は呼吸がしやすくなり、根腐れ防止にもつながります。

長期的な効果持続と炭素貯留

土壌中での炭の効果は長期的に持続します。炭は安定した炭素構造を持っており、土壌中で分解されにくい物質です。数百年以上にわたって土壌に残存。土壌改良効果を長期間にわたって発揮し続けます。

安定した構造で土壌に留まる炭は、大気中の二酸化炭素を土壌に固定する「炭素貯留」としても機能。地球温暖化対策に貢献すると国際的に認められています。

長期にわたる土壌改良効果・温暖化対策効果が得られるのが炭のメリットです。

炭のデメリット

土壌pHを上昇させる可能性

一般的に炭はpH9~11のアルカリ性を示します。過剰に施用すると土壌のpHが上がりすぎてしまい、作物の生育に悪影響を及ぼす可能性があります。

とくに注意が必要なのはブルーベリーのように酸性土壌を好む植物を栽培する場合や、もともとアルカリ性の強い土壌に施用する場合。土壌のpHバランスが崩れ、植物が必要とする栄養素の吸収が阻害される恐れがあります。

参照元:日本バイオ炭普及会【PDF】(https://biochar.jp/wp-content/uploads/2019/09/seyoumeyasu.pdf

品質や施用量の不安定さ

炭は原料(木材、竹、もみ殻など)や製造方法(焼成温度、時間など)によってその性質や効果に大きなばらつきが生じます。品質の不安定さによる適切な施用量の見極めの難しさが炭のデメリットです。

少なすぎれば土壌改良効果が薄れます。多すぎればpHのバランスが崩れたり、土壌中の水分が炭に吸着されすぎて植物に水分が届かなくなったりするリスクも。

土壌の状態や栽培する作物の種類に合わせた、施用量の慎重な調整が不可欠です。

炭での土壌改良で
実現できること

植物がしっかり根を張れる土壌に

炭を土壌に混ぜ込むとまず変化するのが植物の根の発達の具合です。炭の多孔質構造によって土壌の通気性と保水性が向上。根はしっかりと呼吸でき、水分や養分の吸収効率も高まります。植物全体の活力が向上し、地上部の成長も促進されるのです。

病害や連作障害を抑える

竹炭のように強い抗菌作用を持つ炭は病原菌や土壌害虫の繁殖を抑制。作物が病気になりにくくなります。

炭は、同じ作物を繰り返し栽培することで生じる「連作障害」の軽減にも寄与。土壌環境が改善され、微生物バランスが整うことで、連作障害のリスクを抑えた生産が可能になります。

炭での土壌改良では
できない・難しいこと

十分な栄養供給はできない

炭は一部のミネラル成分(ケイ酸、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)を含んでいるものの、植物の生育に必要な窒素やリンといった主要肥料成分は十分には含まれていません。炭を土壌に施用するだけでは作物の栄養としては足りず、他の肥料や堆肥との併用が不可欠です。

特定の効果を狙って
得るのは難しい

炭は土壌問題を解決する万能薬ではありません。土壌中の重金属や特定の有機汚染物質の吸着効果には限りがあり、その効果は炭の種類や汚染物質の種類に依存するものです。また、土壌中に残留する農薬を炭が吸着し、効果が低下するリスクも指摘されています。

炭の性質や効果にはばらつきがあるため、特定の目的に対して必ずしも期待通りの効果が得られるとは限りません。

炭と微生物の関係性

炭は「器」、微生物は「中身」

炭は、それ自体が「働く」というより、土壌中で微生物が働くための環境、つまり「器」を提供する役割を担います。炭が持つ無数の微細な孔は、微生物にとって格好のすみかとなり、増殖がしやすい空間を提供します。

安定したすみかがあればこそ、土壌中の有用微生物は健全に活動し続けることが可能なのです。

微生物を活かすことで
炭の力が発揮される

炭の真価は、微生物活動と組み合わされて初めて発揮されます。微生物が炭の器の中で活発に働くことで、改善されるのは土壌の物理性です。微生物の分泌物によって土の粒子が結びつき、団粒構造の形成を促進。通気性や保水性が向上し、作物の根が伸びやすく、健全な発育につながります。

微生物には土壌中の有機物を分解して、植物が吸収しやすい形に変換したり、有害な微生物の活動を抑制して、病原菌から作物を守ったりする効果も。

炭は微生物という生きた土壌改良剤を育成・活用するための基盤だと言えます。

炭と微生物資材の違い

効果が出るタイミング

炭による土壌改良効果は、土壌の物理性改善という根本的な変化をもたらすため、比較的ゆっくりと現れます。しかし一度効果が出れば、数十年から数百年という長期間にわたって持続するのが特徴です。

一方、微生物資材は特定の有用微生物を直接土壌に投入するため、1か月程度で植物の生育促進や病害抑制といった効果が得られます。しかし、その効果は土壌環境によって左右され、持続期間も炭に比べて短いものです。

管理のしやすさ

炭は非常に分解されにくい難分解性有機物のため、一度土壌に施用すれば、物理的効果は比較的安定しています。気温や湿度などの環境変化に左右されにくく、管理が容易なのは利点です。

対して、微生物資材は生きた微生物であるため、効果は土壌の水分、温度、有機物量などの環境要因に影響されます。微生物がしっかり活動できるよう、細やかな環境管理が必要です。

まとめ

炭だけでは一長一短

炭は土壌の通気性、保水性、保肥力を長期的に改善します。pH調整や根腐れ防止、さらには地球温暖化対策としての炭素貯留に貢献するなど、農業生産の基盤を強化する優れた資材です。

とくに、粘土質で水はけの悪い土壌の改善を目指す農家や、長期的な視点で土壌の健全性を高めたい農家にとって、炭は非常に有効な選択肢となるでしょう。

一方で、炭は単体では主要な栄養素を供給しないため、他の肥料や堆肥との併用が不可欠です。また、そのアルカリ性のため、土壌pHを上げすぎないよう、作物や土壌の状態に応じた適切な施用量の見極めが重要です。

どんな農家にとって
微生物資材の活用が有効か

土壌の物理的基盤の改善に加えて、特定の生育課題や病害問題に対してより直接的・短期的な効果を期待したい農家にとって、微生物資材の活用は有効。ほ場で連作障害が慢性化している場合や、特定の根系疾患の発生を抑えたい場合、あるいは作物の初期生育を強力に促進したい場合などです。

土壌の生物相をピンポイントで強化したい農家は、微生物資材の導入を検討すべきでしょう。微生物資材は、特定の有用微生物が持つ多様な機能(養分吸収促進、病害抑制、生育活性化など)を直接的に利用できるため、炭だけではカバーしきれない生物性の改善に役立ちます。

炭と微生物資材を併用する有用性

炭と微生物資材の併用によって相乗効果を得られます。炭は土壌に物理的な「住処」を整備し、水や空気の循環を良好に維持。微生物資材は土壌中に有用菌を効率的に定着させ、活動を活発化させます。炭で土壌の「インフラ」を整え、微生物資材で「住民」である有用菌の活動を強化するというアプローチは、土壌の健全性を飛躍的に高める手法です。

作物の安定的な高品質生産と収量増加に貢献する、合理的な方法と言えます。

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